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- 470 ：◆BloodyRAXU ：2009/02/07(土) 21:55:22 ID:I+JfxOtc
- 私は酷く疲れていた。
少しウトウトしていた。2秒くらい意識が飛んでいた、のかもしれない。
段差に乗り上げた衝撃で、私は気が付いた。
目の前にはフェンスが迫っていた。思い切りブレーキを踏んだ。
だがパニックだったのかアクセルを踏んでいた。
車は自足７０km程でフェンスを突き破り、堤防にぶつかり、川に飛び込んだ。
フェンスにぶつかり、車が飛んだところまではしっかり覚えている。
堤防にぶつかった衝撃で車は1回転して６m下の川に着地した。
その時の情景は覚えていないが、天地が逆転していた光景は覚えている。
車は川に沈んだ。それ程深くは無かったが胸の所まで水が来ていた。
私は咄嗟にシートベルトを外し、一度ドアを開かず、鍵に気づいてから鍵を開けた。
それでも水圧でドアは開かなかったが、力ずくでこじ開けて脱出した。
私は冷静だったのか、車に積んでいた荷物を全て車の屋根に置いた。
車の屋根はへこんでいた。やはり1回転して何かにぶつかったようだ。
私は６m程ある堤防をよじ登った。何とか上りきり地上に出た。
地上から見ると、車は６m下の川に１０m程ジャンプしていた。
しかも突っ込んだ向きとは真逆の向きを向いていた。
どういう回転が加わってこうなったのかわからないが、酷く揺さぶられたに違いない。
しかし私の身体は、かすり傷一つ怪我をしていなかった。
他の人とも普通に話が出来て、頭を打った様子でもない。
野次馬の人達が20、30人程集まっていた。
やはり壮絶な光景だったらしく、しかも搭乗者が無傷で、
しかも自力で川から上がってきたのだから全員唖然としていた。
そして後から観察して分かった事だが、
車の突っ込んだフェンスの両隣には散髪屋と電柱があった。
30cmでも左だったら散髪屋に突っ込んで大惨事になっていた。
30cmでも右だったら電柱にぶつかって私は即死だった。
そして通りには人が通ってなかった為、誰も危害は無かった。
もし車が低スピードで突っ込んだら、真っ逆さまに落ちて即死だったろう。
もし車が上下反転していれば、私は溺死していただろう。
最終的な被害は置いてあった自転車が2台壊れた事と、フェンスが3つ分程捻じ曲がってしまったくらいだ。
当然自動車は大破だが。
本当に死を意識した。
まさに九死に一生を得たと言っていい。
だが、あまりにも出来すぎた偶然で、私はこう考えた。
もしかしたら私は死んでいるんじゃないか、と。
もしかしたら私は車の中で死んでいて
これは私が死ぬ前に見ている幻想ではないかと。
・・・という夢を見たんだ。
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