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18 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2010/07/11(日) 22:02:44 ID:wrJ4m7xA
「おしゃべりが過ぎたようだ。急いでくれ」尻尾がそう言って立ち上がると一同も立ち上がっ
た。打点は黒い蛇革のハンドバックを取り上げて腕に掛け、尻尾は小さめのトランクを椅子の
下から持ち上げた。バルコニーから喫茶室に通りぬけざま、部屋の端に先程のウェイトレスを
見つけた獅子は愛想よく笑い、さっきはごめんね、と声をかけて行った。がらんとした大理石
張りの廊下に出ると、五人はこつこつと靴音を響かせながら、階段に向かって歩いていった。
五人の他に客はなかった。このフロアごと、みこじが偽名で貸し切っていた。

「この時間帯、カロコグ周辺には人っ子ひとりおりません。図書館の職員は休暇を取っており
ます。それに警備の者も今夜だけは早引け、文字通り、もぬけの殻でございますよ」
階段を降りながらみこじが説明した。
「そりゃあ、四年に一度の大祭、その最終日でございますからね、休みにしなけりゃ暴動が起
きますよ。それからあの辺りは花火が見える丘とは、街の正反対の方角に位置しておりますか
ら、我々を目撃するような人間もおりますまい」

 ホテルの正面に黒塗りの箱馬車が乗り付けていた。時計塔広場の客は二,三人を残していなく
なっていた。舞台の上は綺麗に片付いている。みこじがフロントから黒いコートと山高帽を取
って来て着、御者に金を与えて返したあと、御者台に登った。
「おい、御者を帰しちまってどうする気だ?」と尻尾がからかうように言った。
「いざ裁判となったら、証人は一人でも少ないほうがよろしいでしょう、坊ちゃん? 私、こう
見えても荷馬車なら御したことがありましてね、箱馬車は初めてなんですが」
そういって自分の冗談に腹を抱えてた笑った。

 

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0ch BBS 2007-01-24