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フクロ小説スレ

1 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 18:19:49 ID:1LNZa/Q2
小説書こうぜ!

9 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 18:37:57 ID:1LNZa/Q2
「ま…まぁ、話は聞いているよ。
 僕はハズカシ。一ヶ月の間だけどよろしく。」

手を差し出された。
握手をした。してしまった。

「は、はぁ…。」
「じゃ、僕はやることがあるからこれで。」

ドアは閉められた。
じっと手を見つめる。

……とりあえず手を洗いに行こう。

10 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 18:45:18 ID:1LNZa/Q2
僕は一階のトイレへと向かった。
ついでだから一階の人にも挨拶をしておこう。

トイレには鍵がかかっていた。
すなわち、中に誰かがいると言うことだ。
参った。これじゃ手を洗えない。
それどころか何にも手で触れられない。

ガチャ。
そんなことを考えているウチにトイレのドアが開いた。

「「あ。」」

同時に声を出した。

「あ……今日から一ヶ月ここでお世話になるntです……
 よ……よろしく……」
「え…っと……1-2号室の乂……です……よろしく……」

初対面がトイレの前だなんて。

「じゃ…じゃあ私は部屋に戻りますね……」

…悪いことをしたなぁ……
いや、別にしたわけじゃないけど……

11 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 18:57:36 ID:1LNZa/Q2
手を洗った後1-1号室へ向かった。
ノックをし呼びかける。

「こんにちは。」

ガチャ
ドアが開く。
中からは夏だと言うのに長袖長ズボンの女性がいた。

「やぁ、こんにちは。君がnt君だね。
 showさんから話は聞いてるよ。」
「は、はぁ。」

彼女は笑顔で迎えてくれたが、
その夏にしては異様なその格好に戸惑った。

「僕はsds。よろしく。」

…僕?またしても戸惑った。

「あ、よ…よろしく。」
「そんなに堅くならなくてもいいって。
 いつでも来いよ。歓迎するぞ。」
「は…はい……では……」

ドアを閉じた。
ここの住人はいい人だけど変わっている人が多いのか?
それがその時の素直な感想だった。
だが今考えるとこの考え方は軽率で愚かな考え方だったのだ。

12 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 18:59:29 ID:1LNZa/Q2
今日はここまで。

私的メモ
バスの運ちゃん 兄貴
管理人 show
1-1 sds
1-2 乂
1-3
1-4
2-1
2-2
2-3 nt
2-4 ハジ

13 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 19:00:12 ID:IoTwl4zU
うおおおおっ!マンセーッ!

14 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 19:02:20 ID:jbpA/wXs
マンセー!!

15 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 19:04:13 ID:3xDWnyOM
普通に面白いぜ、マンセーマンセー!

16 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 19:14:38 ID:vuCRjd9s
えーとえーと

わふぅわふぅ!!

17 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 19:26:48 ID:h7gZ7K6c
───────────────────┐
   【 2-4 】  【 2-3 】  【 2-2 】  【 2-1 】 │
    /恥、     nt                    │
    (,,'∀`)  (,,・∀・)                  │
                                └─────┐
   【 1-4 】  【 1-3 】  【 1-2 】  【 1-1 】    【管理人】 │
                 ∧乂    〈__{三}_     〈 ̄{⇔}〉   |
                 (*゚д゚)    〈::l ゚ -゚)    ≪,,-∀-)>  |
─────────────────────────┘
よけいな世話かも知れんがd一風

18 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/25(月) 01:08:14 ID:ssJEjic+
>>17
俺はそれでイメージ出来た。dd

>>1
乙。続き楽しみ。

19 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/25(月) 16:56:50 ID:nihgBuaE
次は1-3、か。
ノックをし返事を待つ。

返事はない。
誰も住んでいないのか、帰ってきてないだけなのか。

先にその隣の1-4に行くことにした。
ノックをする。

「どうぞ。」

ドアを開け部屋に入る。

「あ、こんにちは。今日から一ヶ月間お世話になるntです。
 よろしくお願いします。」

夕焼けを背景に映ったその姿にはどこか風格があった。

「こんにちは。私はミコネコといいます。よろしく。
 でも、実は私もほんの一ヶ月前に来たばかりなんです。
 初心者同士仲良くしましょう。」

気さくな話し方ではあるが、どうも表情が読めない。
悪い人ではない、ということは感じ取られた。

「はい、よろしくお願いします。」


20 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/25(月) 16:57:10 ID:nihgBuaE

一通り話を終え、その場を後にした。

話によると彼は民俗学研究のためにここに来たそうだ。
なんでもこの地方に伝わる”ホマチ神”について調べているらしい。

自分も卒論を書くためという名目でここに来たが、
それは曖昧なもので、「人のあまりいない場所へ行きたい」という逃避だった。

僕は彼の様な目的をしっかりと持った立派な人間ではない。
ここに来ても現実に打ちのめされた。


階段を上りきった後ため息が出た。


21 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/25(月) 16:57:35 ID:nihgBuaE
2-1号室の前に来た。
人に会う度に自分の社会性の無さに情けなくなる。

しかし他の人にも挨拶したのに全員に挨拶しない訳にはいかない。
ドアは力ない手でノックされた。

「……どうぞ…………」

力なくノックされたドアの中から力ない男性の声が返ってきた。
ドアを開き話しかける。

「こ、こんにちは…今日から一ヶ月お世話になるntです…
 よろしくおねがいします……」

「……あぁ…………」

今まで会った人とは異なり冷めた対応だ。
表情もどことなく寂しげに見える。

その時はまだ彼の本当の内奥にある心は理解できなかった。

「……何?…………まだ用があるの?…………」
「え……あ……なんでもないです。」

すぐにドアを締め元の空間へ帰還した。
彼は明らかに僕を拒絶していた。
いや、拒絶してたというよりも誰とも関わりたくないのだろうか。


何にせよ名前も聞けずに彼の空間から逃げ出してしまった。

22 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/25(月) 16:58:00 ID:nihgBuaE
ふと、ドアの隣に掛けられている名前の札に気付いた。
こんなものがあったのか、早く気付いていれば良かった。

早速その部屋の主の名前を見る。
←さん、か。

だが、知ったところで何の進展もない。
彼の空間に入ることは僕には簡単なことではないと思えたからだ。


そのとき、横から声を掛けられた。

「何をしている。」

振り向くとそこには快活そうな女性がいた。


「あ…今日からここでお世話になるntです。よろしく。」
「あぁ、君がnt君か。よろしく。」

初対面だがこの人には一生頭が上がらないだろうな。と感じた。

「……←君に何か用があるのか?」

彼女の表情が少し険しくなった様に思えた。

「あ…今挨拶をし終えた所なんです。」
「……そうか……彼には優しくしてやってくれ。
 向こうが突っ張った態度でもね。」
「は…はぁ……」


23 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/25(月) 16:58:49 ID:nihgBuaE
階段下から声がした。

「夕飯が出来ましたよー。」

管理人さんが階段下に見えた。
そういえば日は殆ど落ちてしまっている。

「あぁ、今いくよ。」

まるで家族かの様にその女性は答えた。

「nt君、先に行ってshow君の配膳を手伝ってやってくれないか?
 私はハズカシと←君を呼んでくるから。」
「あ、分かりました。」

階段を下り食堂へ向かう。良い匂いがした。
食堂では管理人さんと又さんが食事の準備をしていた。

「手伝いますよ。」
「あ。ありがとうございます。じゃあそこの箸を並べてください。」

18本。すなわち9人分の箸がそこにあった。
ということはまだ見ぬ住人が此処に来るのだろうか。

24 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/25(月) 16:59:06 ID:nihgBuaE
ここまで。

25 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/26(火) 13:57:35 ID:DY1XXWe6
「ただいまー。」

聞き覚えのある声だ。
この声は確か…

「おかえりなさーい。」

声の主を確認してみると、あの時のバスの運転手だった。

「あっ」

どちらかということもなく同時に声を発した。

「どうも。今日からお世話になります。ntです。」
「君がnt君だったのか!俺は1-3号室のarikiだ!よろしく!」

満面の笑みで握手をしてきた。
その握力は強く、少し痛かった。
それより気になったのは手の傷跡だった。
バスの運転でここまで傷が付くはずはない。

「さぁ、ご飯にしようか。」

気がつくと食卓は8人で囲まれていた。
←さんがいない。

26 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/26(火) 13:58:12 ID:DY1XXWe6
空いている席に目をやっていると、
さっきの快活な女性から声を掛けられた。

「←君はあとで食べに来るって。」

その言葉は、その場をやり過ごしたいかのような感じがした。
彼は僕以外の人にもあまり接したくないのだろうか。

「ところでntさんはどんなトコから来たんですか?」

管理人さんが話しかけてきた。

「あ、えーっと。ビルばっかり立ち並んでいて殺風景な所です。」

周りに大勢の人がいる中で話すのはやっぱり苦手だ。
その後も色々な人からさしあたりのない質問をされた。

食事も終わり一人、また一人と食卓を離れていく。


27 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/26(火) 13:58:26 ID:DY1XXWe6
「さて、今日の当番は僕だったな。」

sdsさんは炊事場へ向かっていった。

「当番?」
「あぁ、掃除や食事の用意・片付けとかの手伝いの当番が決まってるんだ。
 今日の掃除はハズカシ君、食事の用意・片付けは僕と又さんさ。」

当番という言葉が気になって聞いてみたらこんなシステムがあったのか。
そんなことは事前には聞いていなかったが。

「そうなんですか。」
「でも別に強制されてやってる訳じゃないんだよ。
 管理人さんへのボランティアみたいなものさ。」

確かに9人分の食事を用意したり、
フクロ荘の掃除を一人でこなすのは大変だろう。

「はぁ。」
「何時、誰がやるかなんてはっきり決まってはないし、
 好きなときに手伝ってるんだ。君も手が空いたら手伝ってあげてね。」
「あ、はい。」
「今日は疲れただろう。部屋でゆっくり休みなよ。」
「じゃあ、そうさせていただきます。」

28 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/26(火) 13:58:38 ID:DY1XXWe6

よく考えたら管理人さんはこのフクロ荘を管理するには若すぎる気がする。
……何か事情でもあるのだろうか。
考えたらきりがないし、答えにはたどり着くことはない。
モヤモヤとした考えは一時忘れることにした。

階段を上がると←さんが部屋から出てくるのを見た。

「あ……どうも……」
「…………」

僕を横目で見ながらそのまま階段を下っていった。
……彼は人付き合いが苦手なのだろうか。

僕は2-3号室に戻り横になった。
風が窓から吹き込み、自然と心が休まった。
一日の疲れのせいか僕はそのまま眠りについてしまった。



僕のフクロ荘での夏が始まった――
忘れられない夏が始まったのだ。

29 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/26(火) 13:59:11 ID:DY1XXWe6
プロローグここまで。
次から一日目に入ります。

小説のタイトル決め忘れたぜ。

30 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/26(火) 16:39:16 ID:/hOka6O6
怒涛のように押し寄せるタイトル案の数々
 ↓

31 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/27(水) 16:35:39 ID:SBwF5gcQ
 ↑

32 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/27(水) 19:04:39 ID:yERUOcDo
うおおおおマンセー
フクロ荘物語でよくね?

33 :一日目:2006/09/27(水) 19:40:27 ID:vh1iTx7+
朝だ。
そう気付いた頃には時計が8:00を回っていた。
とは言っても部屋に時計はなく腕時計を見たのだが。
時計があるのは食堂ぐらいだ。

「ちょっと寝過ぎたかな……」

目をこすりながらその場を立ち、部屋を出た。
僕は食堂へと向かった。

食卓には食事が3人分置いてあった。
他の二人はまだ来てないようだ。

「頂きます。」

漁村らしく、おいしそうな魚があった。


34 :一日目:2006/09/27(水) 19:40:45 ID:vh1iTx7+
「おはよっ!」

sdsさんだ。
相変わらず長袖長ズボンの格好だ。

「あ、おはようございます。」
「昨日はよく眠れたかい?」
「おかげさまで。」

いつも笑顔で話す彼女にはきっと悩みなんてないんだろうな。
そう思った。

「ごちそうさまでした。」
「あ、食器はそこに置いといてね。」
「あ、はい。」

既に幾つかの食器は洗っておいてあった。
もっと早く起きれば良かったかなと思った。


35 :一日目:2006/09/27(水) 19:40:59 ID:vh1iTx7+
僕は席を立った。

「今日はどうするんだい?」
「えーっと、とりあえず村をちょっと見てきます。
 どこに何があるかちゃんと確認しときたいんで。」
「そうか、行ってらっしゃい。」

笑顔で食堂を見送られた。
廊下で←さんと出くわした。

「あ、おはよう。」
「…………おはよう……」

……一応挨拶はしてくれたがちょっと残念だ。

その場を後にし廊下を歩く僕に食堂からsdsさんの声が聞こえた。

「おはよー。」
「…………おはよう……」

やはり彼は他の人に対してもつれない態度を取っている。
僕だけではないと分かって安心したが、同時に寂しさを感じた。

36 :一日目:2006/09/27(水) 19:41:35 ID:vh1iTx7+
玄関を出ると昇り切っていない太陽の日差しが全身に降り注いだ。

「さて、と……まずはどこに行くかな。」

ポケットにしまい込んでいた地図を取り出し見つめる。
一番遠い所、海岸近くの商店を見に行くことにした。

坂を下るほど海の香りが強くなっていく。

坂を下り車が全く通っていない道路に沿って歩いていく。
商店はすぐそこだ。

「あれ、まだ閉じてるのかな?」

”しらとり屋”と書いてあるその小さい店はまだ開店してないようだった。
田舎の店だ。開くも開かないも気分次第なのだろう。
無駄足を踏んだ僕は少しため息をつき地図をまた取り出した。

「ここから一番近いのは……と。」

……銭湯か。
見上げてみると高く聳えた煙突が見えた。

37 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/27(水) 19:42:35 ID:vh1iTx7+
ここまで。
タイトルは今のところ”フクロ荘物語”にします。
>>32 ありがとうございました。

38 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/27(水) 20:07:36 ID:yMFW2h2A
続きktkr
淡々と紡がれる文章いいね。
期待。

39 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/27(水) 20:47:08 ID:J7honsQE
「姑獲鳥(うぶめ)の夏」

みたいなちょっとミステリアスなイメージの名前もサブで欲しい。
いいの浮かばない…

40 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/27(水) 21:49:03 ID:tGwqVnJA
短いのに面白いなあ。速攻でファンになった。

41 :一日目:2006/09/28(木) 18:14:17 ID:bL34wdXQ
道路を沿ってその煙突に近づくにつれて、
その煙突の存在感も増してきた。

「近くでみると結構でかいな……」

都会には煙突より高いモノはいくらでもある。
しかしここで一番高い煙突は都会のソレより高く感じた。

「”銭湯 濡流”……か」

見たところここもまだ開いてないようだ。
やはり田舎だから採算の採れない営業は控えるのだろう。
詳しいことはフクロ荘の皆に聞こう。

僕は再び歩き始めた。
折角海岸近くに来たのだから海辺の砂浜へと立ち寄ることにした。

ここの海は穏やかでとても綺麗だ。
僕の知っている海といえば、
ゴミが浮き、濁ったような海しかない。
海はその地に住む人の心を表しているのかもしれない。

42 :一日目:2006/09/28(木) 18:14:34 ID:bL34wdXQ
しばらく散策したあと喉の渇きを感じ砂浜を後にすることにした。
確かしらとり屋の前に自動販売機があったはず。

しらとり屋の前に行くと確かにそこに自販機があった。
品目はあまり聞いたことのないモノばかりだった。
だがよく見ると全く機能してないようだ。
取り出し口には蜘蛛の巣が張られていた。

「……なんだ……また無駄足か……」

自嘲気味に笑い屋根の日陰に座り込む。
僕はそこでしばらく休んだ。

「……フクロ荘に戻るとするかな……」

誰に言うともなく呟きゆっくりと立ち上がった。

43 :一日目:2006/09/28(木) 18:15:06 ID:bL34wdXQ
僕は坂を登り始めた。
日差しは朝よりも強くなり、僕から水分を奪う。

「……ぁっちぃ……」

シャツで汗を拭い、ゆっくりと前進する。
流石に慣れない坂を登るのは辛い。
フクロ荘に着いた頃には汗だくだった。

ガラガラ

疲れた体で玄関を開ける。
すぐさま食堂へ向かい管理人さんが作っておいてくれていた
共用の麦茶を冷蔵庫から取り出す。
9人分の麦茶だ。冷蔵庫のサイドポケットは麦茶でいっぱいだった。

コップを取り出し、麦茶を注ぎ、喉を潤す。
乾きはそれだけで満たされた。

44 :一日目:2006/09/28(木) 18:15:31 ID:bL34wdXQ
飲み終えたところに又さんが入ってきた。

「お疲れみたいですね。」
「あ、ちょっと村を回って来たんですよ。
 あんまり運動してないもんだから疲れちゃいました。」

軽く笑いながら話す。
又さんは麦茶を取り出しコップに注ぐ。

「村はどんな感じでした?」
「んー、不便なところもあるけど綺麗な所だなって感じですね。」
「そうですねー。私もここのそういうところが好きなんです。」

そう言って麦茶を軽く飲む。

「今月は祭りがあるから楽しみにしていて下さいね。」
「あ、はい。」
「それじゃ、また。」

言い終えると又さんは自分の部屋へと帰っていった。

45 :一日目:2006/09/28(木) 18:15:50 ID:bL34wdXQ
僕も体を一旦休めるために二階の自室へと戻る。
敷きっぱなしの布団に寝ころび携帯電話を弄る。

一本しか立ってない。
なんだかどうでもよくなり携帯電話を閉じ、大の字になった。

しかし僕はその後、殆ど携帯電話を使わなくなるが、
それはまた別の話。――

「さて……卒論に取りかからなきゃな……」

卒論といってもそんなに大した物ではない。
あまり名の知れない大学の卒論だ。量さえ書けばなんとかなる。

起きあがりバッグの中身を弄る。
ノート、電子辞書、数冊の本、何着かの服……
原稿は見つかったが肝心の筆記用具がなかなか見つからない。

「大分奥の方に詰めたからなぁ……」

結局最深部に筆記用具を見つけバッグの辺りは物だらけになってしまった。
それに目をやりまた別の疲れが僕に覆い被さった。

46 :一日目:2006/09/28(木) 18:16:10 ID:bL34wdXQ
「やれやれ……」

乱雑した所持品はなかなか片付けられない。
全て入っていたはずなのになかなか元通りにはならないのだ。

「あー…もー…」

結局その場に放り出したまま卒論に取りかかろうとした。
机に向かってもあまりやる気はしなかった。
適当に文字を書き、適当に時間を潰していく。

一枚目の半分を書きかけたときには
自分の書いたものが稚拙に感じてグシャグシャにしてしまった。

「ふぅ……」

そのまま後ろに倒れ込み原稿用紙だったものを屑籠に向かって投げる。
案の定、僕が創り出した稚拙の塊は屑籠も気に入らないようで、はね除けられてしまった。

自分自身が嫌になり目を瞑る。
現実から逃れるには周りを真っ暗にしてしまえばいいだけだ。

47 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/28(木) 18:17:10 ID:bL34wdXQ
ここまで。
サブタイは未定なんでドンドン考えちゃってくださいな。
いいのがあったら使わせて貰うかも。

ドット絵おもすれー。

48 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/28(木) 19:33:57 ID:WLVuUm1A
ここまでまとめ。
───────────────────┐
   【 2-4 】  【 2-3 】  【 2-2 】  【 2-1 】 │
    /恥、     nt                 /И   |
    (,,'∀`)  (,,・∀・)              ( ' -')  |
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   【 1-4 】  【 1-3 】  【 1-2 】  【 1-1 】    【管理人】 │
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─────────────────────────┘

49 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/28(木) 19:40:17 ID:bL34wdXQ
どもー。
作中に名前はまだ出てないけど2-2は閣下です。

50 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/28(木) 23:07:09 ID:oPt3jiOs
bit×又よりは牛猫×又のほうがまだおもしろそう。

51 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/28(木) 23:51:05 ID:hE2e3ofw
>>50
よし、お前書け

52 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/29(金) 23:23:58 ID:QaL7J2Hs
|\/|
|゚Д゚| <今日は顔グラのドット打ちに疲れたんで、もう寝ます。

53 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 02:39:59 ID:gS0cpyXw
オヤスモーノシ

54 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 09:34:34 ID:r/VSjPRg
真っ暗闇から僕を引きずり出したのは管理人さんの声だ。

「お昼が出来ましたよー。」

ゆっくりと起きあがり目を擦り返事をする。

「……はーい。」

眠気を覚ましながら階段を下る。
食堂に着き、食卓を見るとそこには6人分の食事があり、
席には管理人さん、sdsさん、又さん、ミコネコさんが座っていた。

「いただきます。」

相変わらず←さんは来てないようだ。
僕は箸をすすめる。
今日の昼ご飯も魚料理だ。

「昼は6人だけなんですか?」

ちょっとした疑問を投げかける。

「えぇ。arikiさんはバスの運転、ハズカシさんと閣下さんはバイトです。」

閣下さん……あぁ、あの女の人はそういう名前だったのか。

「日曜日はみんないるんですけどねー。」

僕は食事を終えその場を後にした。

55 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 09:34:53 ID:r/VSjPRg
僕は自室へ戻りタオルを用意した。
外を歩くのだったらタオルぐらい持っていった方が良い。

階段を下り食堂の前を通る。
管理人さんと又さんが食事の後片付けをしていた。
←さんの食事はまだそのままだ。

「またお出かけですか?」
「えぇ、まだちょっと見てないところもあるので。」
「いってらっしゃい。」

玄関を出る。
朝の時より日差しが強くなっている。

「暑……」

とりあえずまだ行ってない場所に行こう。
坂の上にあるホマチ神社を通って酒屋にでも行ってみようか。

56 :一日目:2006/09/30(土) 09:35:48 ID:r/VSjPRg
坂をゆっくりと登る。
その先にホマチ神社はあった。
大して大きいわけではないがどことなく幽寂とした感じがする。

「涼しいな……」

木々に取り囲まれたその神社には不思議な静けさがあった。
境内を歩き回るとそこには不思議な石像があった。

「なんなんだこれは……?」

その像に左半身はなく、右半身のみであった。
台座を見ると”ホマチ神”とあった。

「”ホマチ神”……あぁ、これが……」

ミコネコさんが言っていたのはこれのことだったのだ。

57 :一日:2006/09/30(土) 09:36:23 ID:r/VSjPRg
「それがこの村に伝わる神様の像ですよ。」

後ろから声がした。
振り向くとそこにはミコネコさんがいた。

「あ、どうも。」
「この像は大分昔からありましてね。
 この村の人々にとって大きな役割を果たしているんですよ。」
「へぇー。」

実際の所、あまり興味があるわけではないので
話を流そうとして適当に相槌を打った。

「その昔、海が大きく荒れ、怪物が海からやってきたんですよ。
 それに立ち向かったのがこの”ホマチ神”。
 村人は親しみを込めて”蒼さん”と呼んでいますがね。」
「はぁ。」
「…で、彼は村人と協力してその怪物をなんとか追い払ったんですけどね。
 代償として彼は左半身を失ってしまったんですよ。
 それに感謝の意を込めてこの神社が建ったらしいんです。」
「そうなんですか。」

ミコネコさんは”ホマチ神”の話となるとかなり饒舌になるようだ。

「それで年に一回、その出来事があったとされる日に祭りを開くんです。
 これは村人の協力の象徴の祭りなんです。」
「へぇー。」

それから少し間をおいてミコネコさんはこう話した。

58 :一日目:2006/09/30(土) 09:36:39 ID:r/VSjPRg
「……ですが……”黒い噂”もあるんですよ……」
「そういう話は僕は苦手なんでいいですよ。」

実際はそう苦手と言うわけではないが、
小難しい話は苦手なので逃げようとしただけだ。

「……そうですね。こういう話はあまり人にしない方がいいですね。」
「そうだと思いますよ。」

そしてミコネコさんは小さくつぶやいた。

「……祭りの日には村人に気を付けて下さいね。」
「…………え?」

「なんでもありません。冗談です。ではまた。」
「……は、はぁ…………」

僕はその場を立ち去る。
ミコネコ先生は像を中心に何かを調べ始めた

59 :一日目:2006/09/30(土) 09:36:57 ID:r/VSjPRg
”黒い噂”……か。
考えてもどうしようもない。忘れることにした。
だがその言葉は脳の隅にこびり付いてなかなか離れない。

「……酒屋に行くか。」

とにかく酒屋に行くことにした。
”黒い噂”についてはその内忘れるだろう。

酒屋は神社を横に行った所にあった。
”洲河瀞屋”とある。看板には「芋焼酎あります。」と書いてある。
僕は別に焼酎が好きなわけでないので興味は沸かなかった。
それより気になったのは店の裏にあるちょっとした蔵だ。

「こんなもの初めて見るなぁ。」

昔の物が今でも残されているこの村は、
他の場所からは隔絶された一つの世界の様に感じた。

60 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 09:37:56 ID:r/VSjPRg
ここまで。
午後にも投下するかも。
”洲河瀞屋”は「すかとろや」と読みます。

61 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 12:08:30 ID:gS0cpyXw
>……祭りの日には村人に気を付けて下さいね

オッツー
伏線かしらktkr
すかとろや・・・凄い漢字だなw

62 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 12:34:54 ID:WvZHjEkk
新聞に載ってるみたいに毎日少しずつ読める
楽しい
スキスキ

63 :一日目:2006/09/30(土) 12:59:09 ID:r/VSjPRg
店に入るとそれなりに色々な酒が置いてある。
ちょっとしたつまみも置いてある。
僕は缶ビール二本とつまみを少し持ってカウンターへ向かった。
カウンターに人はいない。カウンターの奥の居間に居る様だ。

「すみませーん。これ下さーい。」

居間に向かって声を上げると
店主らしき男性が出てきた。

「あ、すいません。」

僕は会計を済ませた。

「お客さん、ここら辺では見ない顔だね。
 旅行で此処に来たのかい?」
「そんな様なものです。
 一ヶ月ほどここに滞在しにきました。」
「へぇー。こんな所までよく来たね。」
「まぁ、色々ありまして。では。」

僕は酒屋を後にした。

64 :一日目:2006/09/30(土) 12:59:53 ID:r/VSjPRg
坂を下りフクロ荘へと戻る。
食堂を覗くと食卓の上には何もなかった。
ようやく←さんがご飯を食べ終えたらしい。

「お帰りー。」

sdsさんだ。
麦茶を冷蔵庫から出している。

「麦茶飲む?」
「あ、いただきます。」

慣れた手つきでコップを取り出し麦茶を注ぐ。

「どこ行ってたの?」
「神社と酒屋です。」
「はい、どうぞ。どうだった?」
「あ、どうも。神社は涼しくて良かったですよ。
 酒屋も結構物が揃っていたし。」
「そっか。」

麦茶を飲みほす。
会話がとぎれた。

「じゃあ僕がコップは洗っておくから、そこに置いておいてね。」
「あ、すいません。」

僕はコップを置き食堂を後にする。

65 :一日目:2006/09/30(土) 13:00:16 ID:r/VSjPRg
部屋に向かい卒論に取り組む。
しかし遅々として中々進まない。
何かが心に引っかかっている。
それが何かあは勿論分かっている。”黒い噂”という言葉だ。
だがそれが何かということが全く分からないのだ。

ミコネコさんに聞けば分かるかもしれない。
だけど僕にはそんな事を聞く勇気がなかった。
何故か踏み入れてはいけない。そんな感じがしたのだ。

「ふぅ……」

無音に耐えきれなくなり、僕はため息をつく。
空間を一時的に支配したその音によって空間は動き出す。

気がつけばもう何時間も経っている。
僕はまた麦茶を飲むことにした。

66 :一日目:2006/09/30(土) 13:00:39 ID:r/VSjPRg
階段を下り食堂へ行く。
食堂には誰もいない。
まるで自分一人だけが残されてしまった様な感覚になる。

「……」

冷蔵庫を開き麦茶を取り出し、
コップに注ぎ、飲む。そしてしまう。
それだけの動作で全てを終えてしまった。

ここに来たのはそれを望んでいたわけじゃなかった。
僕の期待は別なところにあったのだが。

67 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 13:01:26 ID:r/VSjPRg
できあがった分だけ投下。
時々ミコネコさんがミコネコ先生になってしまうから困る。

68 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/01(日) 07:47:06 ID:Iq2a+QsU
|\/|
|゚Д゚|<まったく天職というべきか、天賦の才というべきか

69 :一日目:2006/10/02(月) 21:02:49 ID:oUwGgY3E
階段を上り部屋に戻る。
酒屋で買ったつまみを取り出し、口に運ぶ。

単調な動作の繰り返し。単調に刻まれる鼓動。
僕は自分を見失った。

”黒い噂”。
その言葉が心から浮かんでは沈んでいく。
心の水面に現れるそれは見えてもつかむことはできない。

――ただ、時間のみが流れる。

ミコネコさんの言うことは本当に冗談だったのか。
それとも本当のことだったのか。

僕には分からなかった。

70 :一日目:2006/10/02(月) 21:03:04 ID:oUwGgY3E
気がつくと夕食の時間に近づいていた。
僕は人を求め食堂へ向かう。

閣下さんと管理人さんが配膳をしていた。
どうやら皆帰ってきているようだった。

「手伝いますよ。」
「あ、すいません。」

人との会話が嬉しいと思ったのは久しぶりだ。
自分の心を紛らわすのには丁度良い。

その日の夕食での談笑は僕の心にあったモヤモヤをすっきりさせてくれた。

71 :一日目:2006/10/02(月) 21:03:19 ID:oUwGgY3E
「あー、そういえばお前まだ銭湯に行ってなかったな。」

夕食後、arikiさんが話しかけてきた。

「昨日はすぐに寝てしまいましたから。
 今日ちょっと行ってみたんですけど閉まってました。」
「あそこは夜しか開いてないからな。一緒に行こうぜ。」
「はい。」

着替えの用意をしフクロ荘を出る。
閣下さんと又さんも一緒だ。

「銭湯は初めてかい?」
「そうですねー。入ったことはないですね。」
「それじゃあ良い経験になるかもね。」
「ですね。」

そんな事を話しながら坂を下る。
暗い坂ではぽつぽつとある小さな電灯の明かりが頼りだ。
一人でいくのはなかなか心細いだろう。

72 :一日目:2006/10/02(月) 21:03:38 ID:oUwGgY3E
僕たちは”銭湯 濡流”に着いた。
煙突からは煙が出ている。

「さっ。行こうか。」

銭湯に入る。
番台には人の良さそうな店員がいた。

「やぁ、いらっしゃい。」
「よっ。こいつが昨日言ってたntだ。」
「あぁ、一ヶ月だけだけどよろしく。」
「よろしくお願いします。」

親しげな人だ。
第一印象からしてもそうだった。

「銭湯は初めて?」
「はい。」
「じゃ、兄貴に教えて貰ったら?」
「兄貴?」
「ああ、arikiさんの事だよ。
 この村ではarikiさんはみんなの面倒見がいいから、そう呼ばれてるんだ。」
「よせよ。恥ずかしいじゃねぇか。」

はにかみながら笑う。
満更でもなさそうだ。

73 :一日目:2006/10/02(月) 21:03:59 ID:oUwGgY3E
浴場は思ったよりも広かった。
大きい風呂を見たのも久しぶりだ。

この村には懐かしく感じたり、不思議に思ったりすることが多くあり、
様々な面で僕を楽しませてくれる。

その日はarikiさんに銭湯でのマナーを教えて貰った。
さらにarikiさんが僕をその日来ていた村の人に紹介してくれた。

村の人たちは僕を歓迎してくれているようだった。
やはりこの村にはあまり人が来ないからなのだろう。


その時はそう思っていた。
だけどその歓迎には裏の理由があったと気付いたのは
あの事件が起こってからの事だったのだ。

74 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/02(月) 21:05:38 ID:oUwGgY3E
ここまでで一日目終了です。

>マフさん
フクロ荘絵化サンクスです。

75 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/02(月) 23:19:19 ID:ZmHHdGDA
よし、マンセー!

76 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 16:38:26 ID:3zcJNxHg
最後の三行ktkr
楽しみだー。
何ヶ所も上手いなーと思った文章があった。
乙です。

77 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 17:17:47 ID:y4x5ltsA
>>74
どこでその絵見れる?
フクロはもうずっと見ていないな……。

78 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 18:08:36 ID:3zcJNxHg
>>77
探してきた。
フクロスレ1478のレス番258にある。
しかし、勝手にここにURL貼って良いか分からないから
とりあえずスレ番だけ。

79 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 18:34:34 ID:4JWW6WR+
事件が気になって夜も寝れないぜ

80 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 18:34:36 ID:4JWW6WR+
事件が気になって夜も寝れないぜ

81 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/04(水) 07:18:52 ID:raOimmgs
>>78
ありがとう。と思ったらもう落ちてるのな。さすがフクロだな。
過去ログ保管庫行ってみようと思ったら、なんか「壁板」とかいう文字が目に入るのな。あれは一体なんなのな。

82 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/04(水) 17:57:32 ID:7mCJqVjU
>>81

>壁板について
2006/07/24(月) 21:35:59、蟻板のサンバ規制が45秒になり、
サンバ15秒の壁板に第三のフクロスレが立つ。 (45秒レス待つの嫌とかそんな理由)。
一時は人がそっちに流れたが結局蟻板に人が居ついてる。
進み具合が遅くログが流れないから今、壁板はwikiの相談や報告用に使われてる。

wikiとはこれのこと。↓保管庫wiki
ttp://tail.s170.xrea.com/wiki/hokanko/


小説書いてる人へ
変に占領しちゃってごめん。
続き楽しみにしてます。

83 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/04(水) 21:47:33 ID:4aJKI7jI
今度はまとめて投下するかも

84 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/04(水) 22:01:21 ID:CFEtyYDU
>>83 期待

85 :五日目:2006/10/05(木) 20:23:56 ID:Vxvm6mec
この村での五回目の朝を迎えた。
ここでの生活にも慣れ始め卒論への余裕も多少でてきた。
と、いう訳で僕たちは海で遊ぶことにしたのだ。

「いってらっしゃーい。」

管理人さんに見送られ、
僕、sdsさん、又さん、ハズカシさんの4人で海へと向かった。
閣下さんもバイトが終わり次第、海に行くと言っていた。
勿論、海の遊びに必要な物も持っていく。
空は晴れ晴れとして絶好の海水浴日和だった。

又さんが言った。

「←さんも来れば良かったのにねー。」
「あー、誘ったんだけどね。いいって言われたんだよ。」

少し残念そうにハズカシさんはそう答えた。

「そうなんですか。」
「うん、彼は来たときからいつもそんな感じなんだ。」
「まぁ、そのうちに心を開いてくれるだろうさ。」

照りつける太陽の下で僕もそれを願った。
彼の心にもきっと太陽の日は当たるはずだ。

86 :五日目:2006/10/05(木) 20:24:15 ID:Vxvm6mec
坂を下り、車が全く通らない道路を渡り砂浜に降り立つ。
この浜はいつもと変わらず穏やかで綺麗だ。

「じゃ、泳ぎましょうか!」

又さんが上着に手を掛けその場で脱ごうとする。

「ちょっ……!何やってるんですか!」

思わず赤面し、声をかけ制止させようとする。

「大丈夫ですよ。ほら。」

そこには水着があった。
僕はまた要らぬ恥をかいてしまった。
ハズカシさんは残念そうな顔をしていた。
sdsさんはと言うとビーチパラソルを開くなどをし、休憩所の用意していた。

「皆さんも着替えて泳ぎましょうよ。」
「そうですね。」

僕とハズカシさんは小屋の影で着替える事にした。

87 :五日目:2006/10/05(木) 20:24:37 ID:Vxvm6mec
「……なぁnt君。」
「はい?」

神妙な顔で僕はハズカシさんに話しかけられた。

「カメラ持ってるかい?」
「え、まぁ。一応。」
「sdsたん達が海に出たらそのカメラで……」
「……はい。」
「バッグの中の下着を……」
「……は?」

嫌な予感がしたがまさにその通りだった。

「何言ってるんですか。ハズカシさん。」
「君も漢だろう。俺の気持ちは分かるだろう。」
「分かりたくないです。」
「まぁ、そう言わずに。」
「それになんで僕なんですか。」
「……普段の行いとでも言っておこうか。」

格好つけて言っているがその行いの内容は知れていた。
普段が普段なのでガードが堅いのだろう。

88 :五日目:2006/10/05(木) 20:24:56 ID:Vxvm6mec
「じゃ、頼むよ。」
「悪いけど僕は協力できませんから……」

そう言って僕は着替えを済ませ皆の元へと戻る。

「ちょっ……待って!」

中途半端に着替えた状態で僕をつかもうとしたハズカシさんは、
中途半端に”出したまま”で小屋の影から現れた。

「「……変態。」」

女性二人から心への挟撃は効いたようだった。
その場に倒れてハズカシさんはしばらく動かなかった。

「……ご愁傷様。」

一応慰めの言葉をかけていおいた。

89 :五日目:2006/10/05(木) 20:25:20 ID:Vxvm6mec
「あれ?sdsさんは泳がないんですか?」

見るとまだ長袖長ズボンのままだ。

「あぁ、誰か一人は沖にいないとね。
 それに……」

冷たい視線がハズカシさんに突き刺さる。
いや、もう突き抜けてしまっているのかもしれない。

「なるほど……分かりました。
 じゃあすいませんがお願いしますね。」
「あぁ。」
「でもその格好じゃ暑くないかい?
 せめて水着になろうよ!」

いつの間にかハズカシさんがいた。
なんという復活の早さなのだろう。

「日焼けするだろう。
 それに危険生物がいるからな。」

危険生物が何を意味をするかは僕にはすぐ理解できた。
隣にいるこの人に決まっている。
だけど当の本人は理解できてないようだ。

「とにかく着替える気はないから海に行っておいで。」

猫を追い払うかのような手つきでハズカシさんを遠ざけた。

90 :五日目:2006/10/05(木) 20:25:38 ID:Vxvm6mec

「ちぇー。」
「『ちぇー。』じゃないですよ。もうセクハラじゃないですか。」
「人はな。偉大なる一歩を踏まなければ前には進めないのだ。」
「そうすると、多分さっきのハズカシさんは崖ギリギリに立っていましたよ。」
「……跳べるさ!」
「落ちると思います。」

折角の海なのにどうでもいい会話をしていた。
まぁ、それでもハズカシさんの様な自分に正直な人は良いかもと思った。
正直すぎるのも問題だが。


91 :五日目:2006/10/05(木) 20:26:00 ID:Vxvm6mec
僕らは競争をしたりどれくらい潜れるか競ったりと楽しんだ。
もっとも僕はほとんど負けていたのだが。

「疲れてきたし一旦、浜に戻りましょうか。」
「あぁ、そうだね。」

初めて又さんにあったときはどぎまぎしていたが、
今は気楽に話すことが出来る。
毎日顔を合わす人とはやはり仲良くできるものだ。

浜に戻るとsdsさんがッジュースを出してくれた。

「はい、どうぞ。」
「あ、どうも。」

心地よい水分が取り込まれる。
疲れた体は元気を少し取り戻した。

「次、交代しましょうか?」

又さんがsdsさんに声を掛けた。

「別にいいよ。あんまり泳ぐの好きじゃないし。
 それに水着持ってないし。」

ハズカシさんの顔が一気に暗くなった。
この人は感情が顔に出すぎている。


92 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/05(木) 20:26:31 ID:Vxvm6mec
とりあえずここまで。

93 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/05(木) 21:51:40 ID:NI+QAsWE
まんせー

94 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/05(木) 22:47:10 ID:1RkZhNqc
慢性

95 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/06(金) 08:19:59 ID:dXtamhuI
恥とntのやりとりがおもしろかった。
乙!

96 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 03:08:39 ID:eobiBwDk
>「あぁ、誰か一人は沖にいないとね。
> それに……」

沖?


>冷たい視線がハズカシさんに突き刺さる。
>いや、もう突き抜けてしまっているのかもしれない。

「筒抜けて」じゃない?

97 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 03:54:23 ID:z/MqEBeE
>>96
浜だろうなあ。・・・うん。

視線だから突き抜けてでokじゃね?
まあ、色々脳内保管して読もうぜ。全裸で。

98 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 10:16:13 ID:BXC8k4tk
崖から跳んだら落ちるんじゃ・・・

99 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 18:14:05 ID:J9C2AyR6
誤字は気にするな!感じろ!
ほとんど考えつくままに書いているから、文が変になったりする。
修正し忘れとかあるとへこむ。
沖の件は最初は沖を見るって書いてたのを修正し忘れたんです><

100 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 19:15:45 ID:ZBnGcFcc
>>96
筒抜け(つつぬけ)
@話したことがすぐに漏れて他へ知られること。
A話し声が他の人に聞こえること。

101 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 19:24:27 ID:rS3OUSFs
>>96
突き刺さった視線がさらには突き抜けてしまうという言葉遊びだと思う

102 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/08(日) 19:24:08 ID:vlqC109E
諸事情で投下は遅れます。

103 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/08(日) 19:53:19 ID:TQHxm+i6
報告サンクス
気長に待ちますノシ

104 :アブ(=゚口゚)さん ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:24:30 ID:cnEedG5o


           __
           __ つ の

        个_.┐
        艮ロ| い た い ん で す が ・ ・ ・


                   _
               _{ニ}_〉 ハ奥l_
               (- ゚ |::〉(*゚ -゚)
               (  っc  ),
                し`J し`J


105 :アブ(=゚口゚)さん1/4 ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:26:00 ID:cnEedG5o
少しだけ暑さが残った感じだけど
湿り気を持たない風はとても心地よかった。

家にいてもとくに2ch以外やることがなかったので
久しぶりに散歩をしに外へ出てみた。
僕の名前はnt。ごく普通の、ごく平均的な大学生。

もうこの町に来てから半年は経っただろうに
こうやって散歩をしてみると新しい発見が沢山ある。
家に籠もっていては決して見つからない発見が。
結構な都会に来たなーと思っていたのに
少し道を外れるだけでそこはもう故郷の田舎と変わらなかった。
人通りのない寂れた町並み。
ちょっと錆びたベランダに干してある洗濯物。
色褪せた壁を持つ建物。
何となくタイムスリップしたようなノスタルジイな気分にさせてくれる。

こっちには何があるのかなと年甲斐もなくウキウキしていた僕は
路地に小さな露店があるのを見つけた。


106 :アブ(=゚口゚)さん ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:26:45 ID:cnEedG5o

露店…というのは間違いかもしれない。
そこにはダンボールから顔を出した一匹の子猫と、
頭にバンダナを巻いた中年の男が木の椅子に座っているだけだった。
一応後ろには張り紙らしきものがあるが…電信柱が邪魔で読めない。

中年の男はこちらに気付いていないようで別の方向を向いていた。
僕はじっとこっちを見つめている子猫に近づいてみた。
子猫は頭に不釣り合いな軍帽を被っている。

あれ?

僕はこの子を昔見たことがあるような気がする。
確か…もっと大きかったような気がするけど…
あ、思い出した。

「おじさん、これって…」
おじさんはこちらに気付いたらしく振り返った。
「ん?おや、いらっしゃい。カッカに興味があるのかい?」

やっぱりか。


107 :アブ(=゚口゚)さん ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:27:28 ID:cnEedG5o

「やっぱりあの山奥閣下なんですか?」
「ああ、そうさ。と言ってもコピペなんだけどな。
 俺はここで"コテペット"を売ってるんだ。」
…成る程、確かにさっきまで見えなかった張り紙には"カッカ 500エン"と書いてある。
「本当は女性専門で"←"ってペットを扱ってるんだがな。
 ちょっと前に全部売り切れちゃってなかなか市場に出回らないんだ。
 それで代わりにしばらくカッカも扱ってみようかなってな。」
おじさんは頭をぽりぽり掻きながら説明してくれた。

僕は少し屈んで閣下の目線に合わせてみた。
僕がドクオ体型であるせいか子猫と言っても僕より少し小さいくらいだ。
「閣下かぁ、…そういえば僕も昔閣下に憧れてたなぁ。
 もっとも僕がAA書き始めた頃にはとっくに引退してたけどね。」
少し自嘲気味の笑みを閣下に投げかけたが
相変わらず閣下は僕の方を何も言わずじっと見つめている。

「飼ってみたいかい?」
おじさんが不意に訪ねてきた。
「え?…えーと」
「カッカってのはちょいとプライドが高くてなかなかシャイだがな。
 その分懐いた相手には忠誠を尽くしてくれるし…
 その上賢いから教えてやれば殆どのことはこなすぞ。」
突然の質問にびっくりしていた僕におじさんは続けてそう言った。


108 :アブ(=゚口゚)さん4/4 ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:28:10 ID:cnEedG5o

「うーん、そうですねぇ…」
とりあえず語尾を濁し考える時間を得て、
おじさんに話しかけられ逸らしてしまった顔を再び閣下に向けた。

昔僕が憧れていた閣下。それがコピペとはいえ目の前にいる。
憧れていたものを逆に自らの手中に置きたいという支配欲…といったら完璧に言いすぎだが
それに近くて…でも限りなく遠い感情が僕の中に芽生えた。

「おじさん、この子を飼ってもいいですか?」
気付いたら僕はそう言っていた。
「お、飼ってくれるかい?毎度あり!」
おじさんはとても営業トークには見えない、心から嬉しそうな顔をしてそう答えた。

「カッカ、僕が君の飼い主だよ。よろしく!」
おじさんに500円を渡した僕は、おじさんに負けないくらいの笑みでカッカに語りかけた。
「………」
やっぱりカッカは何も言わず、でも少し怠そうにダンボールの中から出てきてくれた。
こうやって並んでみると、カッカは本当に僕より少し小さいくらいで殆ど変わらない。
いや、ドクオ体型の僕が小さすぎるせいでもあるんだけど。

「それじゃー、頑張れよー!」
帰り際おじさんが手を振って見送ってくれた。
僕も負けじと振り返した。
帰りは元来た道をカッカと手を繋いで帰ってみた。
身長差があまりないせいか少しだけ恥ずかしかったけど、
けど何だか嬉しかった。


109 :アブ(=゚口゚)さん ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:28:56 ID:cnEedG5o
今回はグロくもエロくもありませんが
物語が進むにつれヤバくなると思います。

そういうのが苦手な方は自分のトリか臨時にコテを付けたので
それをNGワードにしてください。

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