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フクロ小説スレ
- 1 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/24(日) 18:19:49 ID:1LNZa/Q2
- 小説書こうぜ!
- 50 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/28(木) 23:07:09 ID:oPt3jiOs
- bit×又よりは牛猫×又のほうがまだおもしろそう。
- 51 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/28(木) 23:51:05 ID:hE2e3ofw
- >>50
よし、お前書け
- 52 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/29(金) 23:23:58 ID:QaL7J2Hs
- |\/|
|゚Д゚| <今日は顔グラのドット打ちに疲れたんで、もう寝ます。
- 53 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 02:39:59 ID:gS0cpyXw
- オヤスモーノシ
- 54 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 09:34:34 ID:r/VSjPRg
- 真っ暗闇から僕を引きずり出したのは管理人さんの声だ。
「お昼が出来ましたよー。」
ゆっくりと起きあがり目を擦り返事をする。
「……はーい。」
眠気を覚ましながら階段を下る。
食堂に着き、食卓を見るとそこには6人分の食事があり、
席には管理人さん、sdsさん、又さん、ミコネコさんが座っていた。
「いただきます。」
相変わらず←さんは来てないようだ。
僕は箸をすすめる。
今日の昼ご飯も魚料理だ。
「昼は6人だけなんですか?」
ちょっとした疑問を投げかける。
「えぇ。arikiさんはバスの運転、ハズカシさんと閣下さんはバイトです。」
閣下さん……あぁ、あの女の人はそういう名前だったのか。
「日曜日はみんないるんですけどねー。」
僕は食事を終えその場を後にした。
- 55 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 09:34:53 ID:r/VSjPRg
- 僕は自室へ戻りタオルを用意した。
外を歩くのだったらタオルぐらい持っていった方が良い。
階段を下り食堂の前を通る。
管理人さんと又さんが食事の後片付けをしていた。
←さんの食事はまだそのままだ。
「またお出かけですか?」
「えぇ、まだちょっと見てないところもあるので。」
「いってらっしゃい。」
玄関を出る。
朝の時より日差しが強くなっている。
「暑……」
とりあえずまだ行ってない場所に行こう。
坂の上にあるホマチ神社を通って酒屋にでも行ってみようか。
- 56 :一日目:2006/09/30(土) 09:35:48 ID:r/VSjPRg
- 坂をゆっくりと登る。
その先にホマチ神社はあった。
大して大きいわけではないがどことなく幽寂とした感じがする。
「涼しいな……」
木々に取り囲まれたその神社には不思議な静けさがあった。
境内を歩き回るとそこには不思議な石像があった。
「なんなんだこれは……?」
その像に左半身はなく、右半身のみであった。
台座を見ると”ホマチ神”とあった。
「”ホマチ神”……あぁ、これが……」
ミコネコさんが言っていたのはこれのことだったのだ。
- 57 :一日:2006/09/30(土) 09:36:23 ID:r/VSjPRg
- 「それがこの村に伝わる神様の像ですよ。」
後ろから声がした。
振り向くとそこにはミコネコさんがいた。
「あ、どうも。」
「この像は大分昔からありましてね。
この村の人々にとって大きな役割を果たしているんですよ。」
「へぇー。」
実際の所、あまり興味があるわけではないので
話を流そうとして適当に相槌を打った。
「その昔、海が大きく荒れ、怪物が海からやってきたんですよ。
それに立ち向かったのがこの”ホマチ神”。
村人は親しみを込めて”蒼さん”と呼んでいますがね。」
「はぁ。」
「…で、彼は村人と協力してその怪物をなんとか追い払ったんですけどね。
代償として彼は左半身を失ってしまったんですよ。
それに感謝の意を込めてこの神社が建ったらしいんです。」
「そうなんですか。」
ミコネコさんは”ホマチ神”の話となるとかなり饒舌になるようだ。
「それで年に一回、その出来事があったとされる日に祭りを開くんです。
これは村人の協力の象徴の祭りなんです。」
「へぇー。」
それから少し間をおいてミコネコさんはこう話した。
- 58 :一日目:2006/09/30(土) 09:36:39 ID:r/VSjPRg
- 「……ですが……”黒い噂”もあるんですよ……」
「そういう話は僕は苦手なんでいいですよ。」
実際はそう苦手と言うわけではないが、
小難しい話は苦手なので逃げようとしただけだ。
「……そうですね。こういう話はあまり人にしない方がいいですね。」
「そうだと思いますよ。」
そしてミコネコさんは小さくつぶやいた。
「……祭りの日には村人に気を付けて下さいね。」
「…………え?」
「なんでもありません。冗談です。ではまた。」
「……は、はぁ…………」
僕はその場を立ち去る。
ミコネコ先生は像を中心に何かを調べ始めた
- 59 :一日目:2006/09/30(土) 09:36:57 ID:r/VSjPRg
- ”黒い噂”……か。
考えてもどうしようもない。忘れることにした。
だがその言葉は脳の隅にこびり付いてなかなか離れない。
「……酒屋に行くか。」
とにかく酒屋に行くことにした。
”黒い噂”についてはその内忘れるだろう。
酒屋は神社を横に行った所にあった。
”洲河瀞屋”とある。看板には「芋焼酎あります。」と書いてある。
僕は別に焼酎が好きなわけでないので興味は沸かなかった。
それより気になったのは店の裏にあるちょっとした蔵だ。
「こんなもの初めて見るなぁ。」
昔の物が今でも残されているこの村は、
他の場所からは隔絶された一つの世界の様に感じた。
- 60 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 09:37:56 ID:r/VSjPRg
- ここまで。
午後にも投下するかも。
”洲河瀞屋”は「すかとろや」と読みます。
- 61 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 12:08:30 ID:gS0cpyXw
- >……祭りの日には村人に気を付けて下さいね
オッツー
伏線かしらktkr
すかとろや・・・凄い漢字だなw
- 62 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 12:34:54 ID:WvZHjEkk
- 新聞に載ってるみたいに毎日少しずつ読める
楽しい
スキスキ
- 63 :一日目:2006/09/30(土) 12:59:09 ID:r/VSjPRg
- 店に入るとそれなりに色々な酒が置いてある。
ちょっとしたつまみも置いてある。
僕は缶ビール二本とつまみを少し持ってカウンターへ向かった。
カウンターに人はいない。カウンターの奥の居間に居る様だ。
「すみませーん。これ下さーい。」
居間に向かって声を上げると
店主らしき男性が出てきた。
「あ、すいません。」
僕は会計を済ませた。
「お客さん、ここら辺では見ない顔だね。
旅行で此処に来たのかい?」
「そんな様なものです。
一ヶ月ほどここに滞在しにきました。」
「へぇー。こんな所までよく来たね。」
「まぁ、色々ありまして。では。」
僕は酒屋を後にした。
- 64 :一日目:2006/09/30(土) 12:59:53 ID:r/VSjPRg
- 坂を下りフクロ荘へと戻る。
食堂を覗くと食卓の上には何もなかった。
ようやく←さんがご飯を食べ終えたらしい。
「お帰りー。」
sdsさんだ。
麦茶を冷蔵庫から出している。
「麦茶飲む?」
「あ、いただきます。」
慣れた手つきでコップを取り出し麦茶を注ぐ。
「どこ行ってたの?」
「神社と酒屋です。」
「はい、どうぞ。どうだった?」
「あ、どうも。神社は涼しくて良かったですよ。
酒屋も結構物が揃っていたし。」
「そっか。」
麦茶を飲みほす。
会話がとぎれた。
「じゃあ僕がコップは洗っておくから、そこに置いておいてね。」
「あ、すいません。」
僕はコップを置き食堂を後にする。
- 65 :一日目:2006/09/30(土) 13:00:16 ID:r/VSjPRg
- 部屋に向かい卒論に取り組む。
しかし遅々として中々進まない。
何かが心に引っかかっている。
それが何かあは勿論分かっている。”黒い噂”という言葉だ。
だがそれが何かということが全く分からないのだ。
ミコネコさんに聞けば分かるかもしれない。
だけど僕にはそんな事を聞く勇気がなかった。
何故か踏み入れてはいけない。そんな感じがしたのだ。
「ふぅ……」
無音に耐えきれなくなり、僕はため息をつく。
空間を一時的に支配したその音によって空間は動き出す。
気がつけばもう何時間も経っている。
僕はまた麦茶を飲むことにした。
- 66 :一日目:2006/09/30(土) 13:00:39 ID:r/VSjPRg
- 階段を下り食堂へ行く。
食堂には誰もいない。
まるで自分一人だけが残されてしまった様な感覚になる。
「……」
冷蔵庫を開き麦茶を取り出し、
コップに注ぎ、飲む。そしてしまう。
それだけの動作で全てを終えてしまった。
ここに来たのはそれを望んでいたわけじゃなかった。
僕の期待は別なところにあったのだが。
- 67 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/09/30(土) 13:01:26 ID:r/VSjPRg
- できあがった分だけ投下。
時々ミコネコさんがミコネコ先生になってしまうから困る。
- 68 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/01(日) 07:47:06 ID:Iq2a+QsU
- |\/|
|゚Д゚|<まったく天職というべきか、天賦の才というべきか
- 69 :一日目:2006/10/02(月) 21:02:49 ID:oUwGgY3E
- 階段を上り部屋に戻る。
酒屋で買ったつまみを取り出し、口に運ぶ。
単調な動作の繰り返し。単調に刻まれる鼓動。
僕は自分を見失った。
”黒い噂”。
その言葉が心から浮かんでは沈んでいく。
心の水面に現れるそれは見えてもつかむことはできない。
――ただ、時間のみが流れる。
ミコネコさんの言うことは本当に冗談だったのか。
それとも本当のことだったのか。
僕には分からなかった。
- 70 :一日目:2006/10/02(月) 21:03:04 ID:oUwGgY3E
- 気がつくと夕食の時間に近づいていた。
僕は人を求め食堂へ向かう。
閣下さんと管理人さんが配膳をしていた。
どうやら皆帰ってきているようだった。
「手伝いますよ。」
「あ、すいません。」
人との会話が嬉しいと思ったのは久しぶりだ。
自分の心を紛らわすのには丁度良い。
その日の夕食での談笑は僕の心にあったモヤモヤをすっきりさせてくれた。
- 71 :一日目:2006/10/02(月) 21:03:19 ID:oUwGgY3E
- 「あー、そういえばお前まだ銭湯に行ってなかったな。」
夕食後、arikiさんが話しかけてきた。
「昨日はすぐに寝てしまいましたから。
今日ちょっと行ってみたんですけど閉まってました。」
「あそこは夜しか開いてないからな。一緒に行こうぜ。」
「はい。」
着替えの用意をしフクロ荘を出る。
閣下さんと又さんも一緒だ。
「銭湯は初めてかい?」
「そうですねー。入ったことはないですね。」
「それじゃあ良い経験になるかもね。」
「ですね。」
そんな事を話しながら坂を下る。
暗い坂ではぽつぽつとある小さな電灯の明かりが頼りだ。
一人でいくのはなかなか心細いだろう。
- 72 :一日目:2006/10/02(月) 21:03:38 ID:oUwGgY3E
- 僕たちは”銭湯 濡流”に着いた。
煙突からは煙が出ている。
「さっ。行こうか。」
銭湯に入る。
番台には人の良さそうな店員がいた。
「やぁ、いらっしゃい。」
「よっ。こいつが昨日言ってたntだ。」
「あぁ、一ヶ月だけだけどよろしく。」
「よろしくお願いします。」
親しげな人だ。
第一印象からしてもそうだった。
「銭湯は初めて?」
「はい。」
「じゃ、兄貴に教えて貰ったら?」
「兄貴?」
「ああ、arikiさんの事だよ。
この村ではarikiさんはみんなの面倒見がいいから、そう呼ばれてるんだ。」
「よせよ。恥ずかしいじゃねぇか。」
はにかみながら笑う。
満更でもなさそうだ。
- 73 :一日目:2006/10/02(月) 21:03:59 ID:oUwGgY3E
- 浴場は思ったよりも広かった。
大きい風呂を見たのも久しぶりだ。
この村には懐かしく感じたり、不思議に思ったりすることが多くあり、
様々な面で僕を楽しませてくれる。
その日はarikiさんに銭湯でのマナーを教えて貰った。
さらにarikiさんが僕をその日来ていた村の人に紹介してくれた。
村の人たちは僕を歓迎してくれているようだった。
やはりこの村にはあまり人が来ないからなのだろう。
その時はそう思っていた。
だけどその歓迎には裏の理由があったと気付いたのは
あの事件が起こってからの事だったのだ。
- 74 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/02(月) 21:05:38 ID:oUwGgY3E
- ここまでで一日目終了です。
>マフさん
フクロ荘絵化サンクスです。
- 75 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/02(月) 23:19:19 ID:ZmHHdGDA
- よし、マンセー!
- 76 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 16:38:26 ID:3zcJNxHg
- 最後の三行ktkr
楽しみだー。
何ヶ所も上手いなーと思った文章があった。
乙です。
- 77 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 17:17:47 ID:y4x5ltsA
- >>74
どこでその絵見れる?
フクロはもうずっと見ていないな……。
- 78 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 18:08:36 ID:3zcJNxHg
- >>77
探してきた。
フクロスレ1478のレス番258にある。
しかし、勝手にここにURL貼って良いか分からないから
とりあえずスレ番だけ。
- 79 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 18:34:34 ID:4JWW6WR+
- 事件が気になって夜も寝れないぜ
- 80 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/03(火) 18:34:36 ID:4JWW6WR+
- 事件が気になって夜も寝れないぜ
- 81 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/04(水) 07:18:52 ID:raOimmgs
- >>78
ありがとう。と思ったらもう落ちてるのな。さすがフクロだな。
過去ログ保管庫行ってみようと思ったら、なんか「壁板」とかいう文字が目に入るのな。あれは一体なんなのな。
- 82 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/04(水) 17:57:32 ID:7mCJqVjU
- >>81
>壁板について
2006/07/24(月) 21:35:59、蟻板のサンバ規制が45秒になり、
サンバ15秒の壁板に第三のフクロスレが立つ。 (45秒レス待つの嫌とかそんな理由)。
一時は人がそっちに流れたが結局蟻板に人が居ついてる。
進み具合が遅くログが流れないから今、壁板はwikiの相談や報告用に使われてる。
wikiとはこれのこと。↓保管庫wiki
ttp://tail.s170.xrea.com/wiki/hokanko/
小説書いてる人へ
変に占領しちゃってごめん。
続き楽しみにしてます。
- 83 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/04(水) 21:47:33 ID:4aJKI7jI
- 今度はまとめて投下するかも
- 84 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/04(水) 22:01:21 ID:CFEtyYDU
- >>83 期待
- 85 :五日目:2006/10/05(木) 20:23:56 ID:Vxvm6mec
- この村での五回目の朝を迎えた。
ここでの生活にも慣れ始め卒論への余裕も多少でてきた。
と、いう訳で僕たちは海で遊ぶことにしたのだ。
「いってらっしゃーい。」
管理人さんに見送られ、
僕、sdsさん、又さん、ハズカシさんの4人で海へと向かった。
閣下さんもバイトが終わり次第、海に行くと言っていた。
勿論、海の遊びに必要な物も持っていく。
空は晴れ晴れとして絶好の海水浴日和だった。
又さんが言った。
「←さんも来れば良かったのにねー。」
「あー、誘ったんだけどね。いいって言われたんだよ。」
少し残念そうにハズカシさんはそう答えた。
「そうなんですか。」
「うん、彼は来たときからいつもそんな感じなんだ。」
「まぁ、そのうちに心を開いてくれるだろうさ。」
照りつける太陽の下で僕もそれを願った。
彼の心にもきっと太陽の日は当たるはずだ。
- 86 :五日目:2006/10/05(木) 20:24:15 ID:Vxvm6mec
- 坂を下り、車が全く通らない道路を渡り砂浜に降り立つ。
この浜はいつもと変わらず穏やかで綺麗だ。
「じゃ、泳ぎましょうか!」
又さんが上着に手を掛けその場で脱ごうとする。
「ちょっ……!何やってるんですか!」
思わず赤面し、声をかけ制止させようとする。
「大丈夫ですよ。ほら。」
そこには水着があった。
僕はまた要らぬ恥をかいてしまった。
ハズカシさんは残念そうな顔をしていた。
sdsさんはと言うとビーチパラソルを開くなどをし、休憩所の用意していた。
「皆さんも着替えて泳ぎましょうよ。」
「そうですね。」
僕とハズカシさんは小屋の影で着替える事にした。
- 87 :五日目:2006/10/05(木) 20:24:37 ID:Vxvm6mec
- 「……なぁnt君。」
「はい?」
神妙な顔で僕はハズカシさんに話しかけられた。
「カメラ持ってるかい?」
「え、まぁ。一応。」
「sdsたん達が海に出たらそのカメラで……」
「……はい。」
「バッグの中の下着を……」
「……は?」
嫌な予感がしたがまさにその通りだった。
「何言ってるんですか。ハズカシさん。」
「君も漢だろう。俺の気持ちは分かるだろう。」
「分かりたくないです。」
「まぁ、そう言わずに。」
「それになんで僕なんですか。」
「……普段の行いとでも言っておこうか。」
格好つけて言っているがその行いの内容は知れていた。
普段が普段なのでガードが堅いのだろう。
- 88 :五日目:2006/10/05(木) 20:24:56 ID:Vxvm6mec
- 「じゃ、頼むよ。」
「悪いけど僕は協力できませんから……」
そう言って僕は着替えを済ませ皆の元へと戻る。
「ちょっ……待って!」
中途半端に着替えた状態で僕をつかもうとしたハズカシさんは、
中途半端に”出したまま”で小屋の影から現れた。
「「……変態。」」
女性二人から心への挟撃は効いたようだった。
その場に倒れてハズカシさんはしばらく動かなかった。
「……ご愁傷様。」
一応慰めの言葉をかけていおいた。
- 89 :五日目:2006/10/05(木) 20:25:20 ID:Vxvm6mec
- 「あれ?sdsさんは泳がないんですか?」
見るとまだ長袖長ズボンのままだ。
「あぁ、誰か一人は沖にいないとね。
それに……」
冷たい視線がハズカシさんに突き刺さる。
いや、もう突き抜けてしまっているのかもしれない。
「なるほど……分かりました。
じゃあすいませんがお願いしますね。」
「あぁ。」
「でもその格好じゃ暑くないかい?
せめて水着になろうよ!」
いつの間にかハズカシさんがいた。
なんという復活の早さなのだろう。
「日焼けするだろう。
それに危険生物がいるからな。」
危険生物が何を意味をするかは僕にはすぐ理解できた。
隣にいるこの人に決まっている。
だけど当の本人は理解できてないようだ。
「とにかく着替える気はないから海に行っておいで。」
猫を追い払うかのような手つきでハズカシさんを遠ざけた。
- 90 :五日目:2006/10/05(木) 20:25:38 ID:Vxvm6mec
「ちぇー。」
「『ちぇー。』じゃないですよ。もうセクハラじゃないですか。」
「人はな。偉大なる一歩を踏まなければ前には進めないのだ。」
「そうすると、多分さっきのハズカシさんは崖ギリギリに立っていましたよ。」
「……跳べるさ!」
「落ちると思います。」
折角の海なのにどうでもいい会話をしていた。
まぁ、それでもハズカシさんの様な自分に正直な人は良いかもと思った。
正直すぎるのも問題だが。
- 91 :五日目:2006/10/05(木) 20:26:00 ID:Vxvm6mec
- 僕らは競争をしたりどれくらい潜れるか競ったりと楽しんだ。
もっとも僕はほとんど負けていたのだが。
「疲れてきたし一旦、浜に戻りましょうか。」
「あぁ、そうだね。」
初めて又さんにあったときはどぎまぎしていたが、
今は気楽に話すことが出来る。
毎日顔を合わす人とはやはり仲良くできるものだ。
浜に戻るとsdsさんがッジュースを出してくれた。
「はい、どうぞ。」
「あ、どうも。」
心地よい水分が取り込まれる。
疲れた体は元気を少し取り戻した。
「次、交代しましょうか?」
又さんがsdsさんに声を掛けた。
「別にいいよ。あんまり泳ぐの好きじゃないし。
それに水着持ってないし。」
ハズカシさんの顔が一気に暗くなった。
この人は感情が顔に出すぎている。
- 92 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/05(木) 20:26:31 ID:Vxvm6mec
- とりあえずここまで。
- 93 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/05(木) 21:51:40 ID:NI+QAsWE
- まんせー
- 94 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/05(木) 22:47:10 ID:1RkZhNqc
- 慢性
- 95 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/06(金) 08:19:59 ID:dXtamhuI
- 恥とntのやりとりがおもしろかった。
乙!
- 96 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 03:08:39 ID:eobiBwDk
- >「あぁ、誰か一人は沖にいないとね。
> それに……」
沖?
>冷たい視線がハズカシさんに突き刺さる。
>いや、もう突き抜けてしまっているのかもしれない。
「筒抜けて」じゃない?
- 97 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 03:54:23 ID:z/MqEBeE
- >>96
浜だろうなあ。・・・うん。
視線だから突き抜けてでokじゃね?
まあ、色々脳内保管して読もうぜ。全裸で。
- 98 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 10:16:13 ID:BXC8k4tk
- 崖から跳んだら落ちるんじゃ・・・
- 99 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 18:14:05 ID:J9C2AyR6
- 誤字は気にするな!感じろ!
ほとんど考えつくままに書いているから、文が変になったりする。
修正し忘れとかあるとへこむ。
沖の件は最初は沖を見るって書いてたのを修正し忘れたんです><
- 100 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 19:15:45 ID:ZBnGcFcc
- >>96
筒抜け(つつぬけ)
@話したことがすぐに漏れて他へ知られること。
A話し声が他の人に聞こえること。
- 101 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/07(土) 19:24:27 ID:rS3OUSFs
- >>96
突き刺さった視線がさらには突き抜けてしまうという言葉遊びだと思う
- 102 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/08(日) 19:24:08 ID:vlqC109E
- 諸事情で投下は遅れます。
- 103 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/08(日) 19:53:19 ID:TQHxm+i6
- 報告サンクス
気長に待ちますノシ
- 104 :アブ(=゚口゚)さん ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:24:30 ID:cnEedG5o
__
__ つ の
个_.┐
艮ロ| い た い ん で す が ・ ・ ・
_
_{ニ}_〉 ハ奥l_
(- ゚ |::〉(*゚ -゚)
( っc ),
し`J し`J
- 105 :アブ(=゚口゚)さん1/4 ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:26:00 ID:cnEedG5o
- 少しだけ暑さが残った感じだけど
湿り気を持たない風はとても心地よかった。
家にいてもとくに2ch以外やることがなかったので
久しぶりに散歩をしに外へ出てみた。
僕の名前はnt。ごく普通の、ごく平均的な大学生。
もうこの町に来てから半年は経っただろうに
こうやって散歩をしてみると新しい発見が沢山ある。
家に籠もっていては決して見つからない発見が。
結構な都会に来たなーと思っていたのに
少し道を外れるだけでそこはもう故郷の田舎と変わらなかった。
人通りのない寂れた町並み。
ちょっと錆びたベランダに干してある洗濯物。
色褪せた壁を持つ建物。
何となくタイムスリップしたようなノスタルジイな気分にさせてくれる。
こっちには何があるのかなと年甲斐もなくウキウキしていた僕は
路地に小さな露店があるのを見つけた。
- 106 :アブ(=゚口゚)さん ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:26:45 ID:cnEedG5o
露店…というのは間違いかもしれない。
そこにはダンボールから顔を出した一匹の子猫と、
頭にバンダナを巻いた中年の男が木の椅子に座っているだけだった。
一応後ろには張り紙らしきものがあるが…電信柱が邪魔で読めない。
中年の男はこちらに気付いていないようで別の方向を向いていた。
僕はじっとこっちを見つめている子猫に近づいてみた。
子猫は頭に不釣り合いな軍帽を被っている。
あれ?
僕はこの子を昔見たことがあるような気がする。
確か…もっと大きかったような気がするけど…
あ、思い出した。
「おじさん、これって…」
おじさんはこちらに気付いたらしく振り返った。
「ん?おや、いらっしゃい。カッカに興味があるのかい?」
やっぱりか。
- 107 :アブ(=゚口゚)さん ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:27:28 ID:cnEedG5o
「やっぱりあの山奥閣下なんですか?」
「ああ、そうさ。と言ってもコピペなんだけどな。
俺はここで"コテペット"を売ってるんだ。」
…成る程、確かにさっきまで見えなかった張り紙には"カッカ 500エン"と書いてある。
「本当は女性専門で"←"ってペットを扱ってるんだがな。
ちょっと前に全部売り切れちゃってなかなか市場に出回らないんだ。
それで代わりにしばらくカッカも扱ってみようかなってな。」
おじさんは頭をぽりぽり掻きながら説明してくれた。
僕は少し屈んで閣下の目線に合わせてみた。
僕がドクオ体型であるせいか子猫と言っても僕より少し小さいくらいだ。
「閣下かぁ、…そういえば僕も昔閣下に憧れてたなぁ。
もっとも僕がAA書き始めた頃にはとっくに引退してたけどね。」
少し自嘲気味の笑みを閣下に投げかけたが
相変わらず閣下は僕の方を何も言わずじっと見つめている。
「飼ってみたいかい?」
おじさんが不意に訪ねてきた。
「え?…えーと」
「カッカってのはちょいとプライドが高くてなかなかシャイだがな。
その分懐いた相手には忠誠を尽くしてくれるし…
その上賢いから教えてやれば殆どのことはこなすぞ。」
突然の質問にびっくりしていた僕におじさんは続けてそう言った。
- 108 :アブ(=゚口゚)さん4/4 ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:28:10 ID:cnEedG5o
「うーん、そうですねぇ…」
とりあえず語尾を濁し考える時間を得て、
おじさんに話しかけられ逸らしてしまった顔を再び閣下に向けた。
昔僕が憧れていた閣下。それがコピペとはいえ目の前にいる。
憧れていたものを逆に自らの手中に置きたいという支配欲…といったら完璧に言いすぎだが
それに近くて…でも限りなく遠い感情が僕の中に芽生えた。
「おじさん、この子を飼ってもいいですか?」
気付いたら僕はそう言っていた。
「お、飼ってくれるかい?毎度あり!」
おじさんはとても営業トークには見えない、心から嬉しそうな顔をしてそう答えた。
「カッカ、僕が君の飼い主だよ。よろしく!」
おじさんに500円を渡した僕は、おじさんに負けないくらいの笑みでカッカに語りかけた。
「………」
やっぱりカッカは何も言わず、でも少し怠そうにダンボールの中から出てきてくれた。
こうやって並んでみると、カッカは本当に僕より少し小さいくらいで殆ど変わらない。
いや、ドクオ体型の僕が小さすぎるせいでもあるんだけど。
「それじゃー、頑張れよー!」
帰り際おじさんが手を振って見送ってくれた。
僕も負けじと振り返した。
帰りは元来た道をカッカと手を繋いで帰ってみた。
身長差があまりないせいか少しだけ恥ずかしかったけど、
けど何だか嬉しかった。
- 109 :アブ(=゚口゚)さん ◆CSUREPjKx. :2006/10/09(月) 20:28:56 ID:cnEedG5o
- 今回はグロくもエロくもありませんが
物語が進むにつれヤバくなると思います。
そういうのが苦手な方は自分のトリか臨時にコテを付けたので
それをNGワードにしてください。
- 110 :五日目:2006/10/09(月) 21:08:48 ID:frNoqYeQ
- しばらく休んでから僕たちはまた海に向かった。
ハズカシさんは『もう帰る。』と言い、とぼとぼと坂道を登っていった。
その背中には哀愁が漂っていた。
「やっと危険は去ったみたいだな。」
sdsさんは彼を見送りながらそう言った。
確かに女性陣は安心して遊べるだろう。
「sdsさんも水着買えばいいのにね。」
「せっかく海の近くに住んでいるのに勿体ないですよね。」
浮き輪にしがみつきながら又さんと会話をする。
太陽の暖かさと海の冷たさが心地よい。
「……もしかして泳げなかったりして。」
「かもね。」
勝手な想像をして二人で笑う。
泳がない――泳げない本当の理由も知らずに。
- 111 :五日目:2006/10/09(月) 21:09:15 ID:frNoqYeQ
- 道路の方を見るとバスが来ていた。
確かあれはarikiさんのバスだ。
しばらく見ていると閣下さんがバスの中から現れた。
手にはスイカをぶら下げている。
「あ、閣下さんだ。」
「バイト終わったんですね。きっと。」
sdsさんが閣下さんに気づき声を掛ける。
「バイトお疲れ様。」
「大したこと無いさ。
それよりスイカ買ってきたから皆で食べようか。」
「あ、ありがとうございます。」
僕ら四人以外には誰もいない海辺だ。
会話は僕たちの所へも聞こえた。
「じゃあ行きましょうか!」
「そうだね。」
僕たちは浜へ向かっ泳ぎ始めた。
- 112 :五日目:2006/10/09(月) 21:09:28 ID:frNoqYeQ
- 「……っ!」
又さんは詰まった声を出し、その場でもがき始めた。
足をつってしまったのだ。
「だ…大丈夫ですか!落ち着いて!!」
落ち着いてと言う自分も落ち着いてなどはいない。
ただ僕に出来た事は手を差し伸べただけだった。
又さんは僕の手を掴んだ。
それと同時に僕もバランスを失った。
「がばっ……」
顔を海面に突っ込んでしまい気管に海水が入り込む。
助けようとしてこの様だ。
- 113 :五日目:2006/10/09(月) 21:09:42 ID:frNoqYeQ
- 又さんは僕の手を掴み必死でいる。
僕は海水を変に飲み込んでしまい息が不自由になっている。
その場で僕たち二人は藻掻き苦しみどうしようもできなかった。
その様子に気付いてくれたのか、
閣下さんは服を脱ぎ下着のままでこちらへ泳ぎはじめた。
「大丈夫か!」
返事をしようにもこの状態ではどうしようもない。
さらに僕の手に掴む又さんの手の力は弱まってきていた。
閣下さんは又さんを僕から引き離した。
既に又さんはぐったりしている。
「nt君!君は泳げるな!?」
「は…はい!」
そう言うと閣下さんは又さんを引っ張るように浜へ泳いでいった。
- 114 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/09(月) 21:09:59 ID:frNoqYeQ
- ここまでダブダブ
- 115 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/09(月) 21:17:34 ID:KvspiMP+
- ダブゥ!?
- 116 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/09(月) 21:23:14 ID:frNoqYeQ
- ダブブゥ!ダブダブブゥ!
ダーブゥー!
ノシ
- 117 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/09(月) 22:03:15 ID:jv5lcaNU
- ( *゙∀゙)ダブダブ
- 118 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/10(火) 16:46:41 ID:oFFWEB7+
- >>109
さっすが旦那!投下待ってたぜ!
ダブダブ!
>>114
ダブダブ!
- 119 :五日目:2006/10/10(火) 20:49:42 ID:JIEBkEKY
陸に上がった僕たちは又さんを浜に寝かせた。
「だいぶ海水を飲んでいるみたいですね……」
「顔色も悪い。このままでは……」
この漁村には病院も診療所さえもなく、
病院は隣町までいかなくてはならないのだ。
閣下さんが言った。
「時間がない。人工呼吸をするぞ。」
「できるんですか?」
「……いや、見様見真似だ。」
「じゃ…じゃあ僕は管理人さんに伝えてくる!」
sdsさんはフクロ荘へと走っていった。
閣下さんは気道を確保できるよう、
又さんの首を曲げ息を吹き込み始めた。
僕はただ何もできずにただそれを見守っていた。
- 120 :五日目:2006/10/10(火) 20:50:00 ID:JIEBkEKY
「ごほっ!」
又さんの口から結構な量の水が排出された。
それと同時に又さんの意識が回復した。
「……ケホッ…………私は……」
「海水を飲んで意識を失っていたんだよ。」
「そうですか……ありがとうございます……ゴホッ」
「疲れただろう。とりあえず日陰で横になってな。」
「ケホッ……そうします。」
閣下さんは凄い人だ。
人のためにこんなにも一生懸命にできる。
もし閣下さんがいなかったら又さんはどうなっていたことだろう。
僕は何もできなかった。無力だった。
- 121 :五日目:2006/10/10(火) 20:50:14 ID:JIEBkEKY
- 「大丈夫ですか!?」
sdsさんが管理人さんを連れてきた。
例の危険生物さんもついてきていた。
「あぁ。たった今意識を取り戻して安静にしているところだ。」
「はい。この通り助かりました。
どうもすいません……迷惑をかけてしまって……」
「無事でなによりさ。」
とにかく助かったのだから良いということにしておいた。
自分の無力さを隠すために。
- 122 :五日目:2006/10/10(火) 20:50:26 ID:JIEBkEKY
「ところでどうしてそんな格好なんだい?」
危険生物さんが危険な顔つきで閣下さんを見つめた。
「!!……いや……これは……その……
まだ水着に着替えてない時に又ちゃんが溺れていたから……」
やっと気付いたことなのだがで水に濡れた
下着のままの閣下さんの格好は確かに性的な魅力があった。
「僕はそのままでもいいと思うよ。」
変態である。
それがその時の率直な考えだった。
- 123 :五日目:2006/10/10(火) 20:52:09 ID:JIEBkEKY
- 「ちょっとこの人連れて行きますんで……」
「あ…あぁ……頼む。」
「あぁー……」
閣下さんは赤面しながら答えた。
僕はハズカシさんを引きずり浜を後にした。
道路に差し掛かる頃、ハズカシさんの声が村中に響いた。
「ちょっ……ちゃんと歩くから!歩くから!
道路は!道路はやめて!皮膚が剥けてしまう!!」
「本当ですか?」
「本当だって!」
その言葉を信用し手を離す。
途端に彼は危険生物となり浜に向かって走り出した。
「あ!!」
危険生物は閣下さんの元へと走る。
10m、5m、1m。
そしてその一瞬後。
危険生物の顔面には閣下さんの拳がめり込んでいた。
- 124 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/10(火) 20:52:29 ID:JIEBkEKY
- ここまでダブゥ。
- 125 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/10(火) 20:56:57 ID:AnEBTogA
- 乙ダブゥ
- 126 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/11(水) 20:50:28 ID:vh18DeeA
- 危険生物はゆっくりと砂浜に倒れ込んだ。
「全く……」
「効いたぜ……あんたのパンチ……」
「まだ息があったか。」
「グェッ!」
閣下さんは足で背中を思い切り踏んだ。
同時に人間と思えないような声でハズカシさんは気絶した。
「とりあえずヌルさんの所に行ってシャワーを使わせてもらう事にするよ。」
「いってらっしゃい。」
「スイカは食べてていいよ。それじゃ。」
「あ、私も戻らないと……じゃあね。」
閣下さんはスイカを置いて銭湯に向かい、
showさんはフクロ荘へと戻っていった。
ヌルさんというのは恐らく銭湯の人のことなのだろう。
- 127 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/11(水) 20:50:52 ID:vh18DeeA
- 「閣下さんはああ言ってましたけど待っていた方がいいですよね。」
「そうですね。折角ですからみんなで食べましょう。」
僕たちはビーチパラソルの日陰で待つことにした。
さっきの事で慌てていたが、大分落ち着いてきた。
今無事でいられたのは閣下さんのおかげだ。
「あの……」
又さんが話しかけてきた。
「ん?何?」
「さっきはどうもありがとうございました。
おかげで助かりました。」
「いやぁ、僕は何もできなかったよ。お礼は閣下さんにいうべきだよ。」
「でもntさんが居なかったらあの時すぐに溺れていました。
ntさんが私に手を伸ばしてくれたから助かったんです。」
驚いた。自分はただ手を伸ばしただけ、と考えていたのに、
又さんはそれをとても感謝してくれている。
自分が情けないと思っていたことがその時恥ずかしく思えた。
- 128 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/11(水) 20:51:12 ID:vh18DeeA
- 「いや。そんな。無我夢中だったんでよく覚えていません。」
とりあえず軽く笑ってその場をごまかした。
「だけどntさんのおかげです。今度きっとお礼をしますね。」
「そんな。別にいいですよ。」
「いえ、是非。」
「こういう時は『はい』って言うものだよnt君。」
sdsさんが微笑みながら話しかけてきた。
「えっ。あ。そういうものなんですか。」
「そうだとも。恩は誰だってちゃんと返したいものさ。」
「はい!是非お礼をさせて下さい。」
「じゃあ楽しみにしてるよ。」
- 129 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/11(水) 20:51:30 ID:vh18DeeA
- しばらくすると閣下さんが帰ってきた。
活発な服を着ている。
「あれ?まだ食べてなかったのか?」
「やっぱりみんなで食べた方がいいですよ。」
「そりゃ、どうも。じゃ、早速食べようか。」
「でも切る物がないですよ?」
確かにスイカを切れるような物はない。
となるとやはり……
「砂浜でスイカと言ったらアレしかないだろ?」
「アレですか。」
「そう!スイカ割りだ!」
スイカ割りは初めてだ。
海に行くことさえ希だった僕はスイカ割りをしたことがなかった。
いや、よく行ったとしても友達が近くにいない僕には無理な話だった。
- 130 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/11(水) 20:51:48 ID:vh18DeeA
- 「よーし!じゃあまずnt君からだ!!」
「え、僕ですか?」
「当然!お客さんにはサービスするものさ!」
閣下さんは妙にハイテンションになっている。
みんなで盛り上がれるゲームというのはやはり楽しい。
僕は目隠しをしてスイカに向かって歩き始めた。
みんなの声を聞きながらスイカの位置を想像する。
止まった位置は最初に見えていたスイカの位置とは、
大分違うように感じられた。
「ここかな?」
「そうだ!そこを思いっきり叩くんだ!」
「よーし!えいっ!」
ばすっ
持っていた棒はスイカに当たってなかったようだ。
いや、スイカに当たるはずがなかったのだ。
- 131 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/11(水) 20:52:32 ID:vh18DeeA
- 「あー惜しいなぁ……」
閣下さんの声が後ろの方で聞こえた。
「どんな感じだったんだろうなぁ……」
目隠しをとるとそこにはハズカシさんが横たわっていた。
危うくハズカシさんを叩いてしまうところだった。
この人は女性の恨みをどれだけかっているのだろうか。
「……危なかった……」
「いや、叩いても問題はないよ。」
「うん。」
「残念です。」
「……そうですか…………」
……本当に何をしたらここまで嫌われるのだろうか。
- 132 :◆VV.HtNrxUA :2006/10/11(水) 20:52:56 ID:vh18DeeA
- ここmダブゥ
- 133 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/11(水) 23:19:49 ID:5a4Bonuk
- 乙!
閣下ヒドスww
- 134 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/12(木) 00:08:03 ID:5NcMSUqA
- ナイスです><
- 135 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/14(土) 20:22:20 ID:ryqa16oA
- 「なんでそんなにハズカシさんが嫌いなんですか?」
やっぱり気になるので聞いてしまった。
「いや、普段から色々と問題行動してるんだよ。」
「脱衣所に侵入したり、部屋に勝手に入って来たり。」
「……ひどいですね。色々と。」
なるほど、それは嫌われるはずだ。
「人の物を漁ったりするからね。評判はあんまりよくない。」
「でも、何故か憎めないんですよね。」
「あー。なんていうか子供っぽいというか純粋というか…」
「嫌いというより面白い変態って感じかな。」
「はぁ……」
それはフォローになっていない気がしたが、
当の本人が気絶しているので問題にしなかった。
- 136 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/14(土) 20:22:42 ID:ryqa16oA
- スイカ割りはsdsさんが締めくくってくれた。
スイカは綺麗に割れ、僕たちはそれを食べた。
勿論ハズカシさんは気絶しているので食べなかったのだが。
「さて、一泳ぎしてくるかな。」
しばらくして閣下さんは服を脱ぎ水着姿になった。
水着が体のラインを強調している。
「みんなはどうする?」
「もうちょっと休んでからにします。」
「んー。私も。」
「僕は本でも読んでるよ。」
「そっか。じゃ、行ってくる。」
閣下さんは海に入り泳ぎだした。
泳ぎの素人の僕が見ても綺麗なフォームだ。
僕はしばらく閣下さんに見とれていた。
- 137 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/14(土) 20:23:12 ID:ryqa16oA
- 「私たちも泳ぎにいきましょうか。」
「あ、うん。そうだね。」
「行ってらっしゃい。」
又さんに促され僕たちは海に向かった。
日が沈まりかけていて海が赤く染まりはじめた。
「じゃあ競争でもしようか。」
「はい!」
「負けないぞ。」
三人で海を泳ぐ。
浜の方を見るとsdsさんがこっちを見ていた。
どことなく寂しげな目だった。
- 138 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/14(土) 20:23:29 ID:ryqa16oA
- 僕たちは泳ぎ終わり帰りの準備をしていた。
「ううーん……」
その時、ハズカシさんが上体を起こした。
「あ、気がつきましたか?」
「やぁ、nt君。なんだか長い夢を見ていたようだ。」
それも当然だ。もうそろそろ4時になる頃である。
ハズカシさんはよろりと立ち上がった。
まだダメージが残っているようだ。
「顔、大丈夫ですか?」
「うん。多分大丈夫。それより写真は?」
「頭、大丈夫ですか?」
「……ごめんなさい…………」
「分かればいいんです。」
この人は本当に全く懲りない。
- 139 :五日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/14(土) 20:23:45 ID:ryqa16oA
- 「じゃ、帰ろうか。」
僕がハズカシさんと話している間に片付けは終わってしまったようだ。
「僕が持ちますよ。」
「いや、いいよ。ハズカシ君に持たせるから。」
「ひどい。」
「もう一発ぶち込もうか?」
「持たせてください。」
閣下さんは男勝りだ。
僕にできないようなことも平気でやってのける。
道路を渡り、坂を登り始める。
僕らの前方には夕焼けによってできた影が長く伸びている。
振り返るとそこには赤く染まった海原と大きく、美しい夕日があった。
その時、僕は自分の非力さをまじまじと感じた。
- 140 :◆VV.HtNrxUA :2006/10/14(土) 20:24:27 ID:ryqa16oA
- これで五日目は終わりです。
伏線が全て解消できるか不安だ。
- 141 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/15(日) 17:31:59 ID:0fFOpWFE
- おーGJ!
- 142 :八日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/16(月) 20:43:47 ID:OSrLY7Zw
- 7時ちょうどのこと。
僕はけたたましい目覚まし時計の音で目覚めた。
朝にしては心なしか暗く感じた。
窓から外を見ると、大きく育った暗雲が立ちこめていた。
「なんか雨降りそうだな……」
ぼそっと呟きながら布団を畳む。
今日は出かける予定はない。
外に出る必要はないのに、雨が降るだけで不快な気分になる。
雨という名のモノは人を冷たく打つからだろうか。
「卒論でも書くかな……」
食事の時間は7:30からだ。まだ25分ほどある。
少しは卒論を進めることができるだろう。
- 143 :八日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/16(月) 20:44:03 ID:OSrLY7Zw
- 僕は机に向かった。
机には昨日と同じままの状態で原稿が置いてあった。
「さて……と。」
鉛筆を持ち書き始める。
だが寝起きの頭で、さらに雨で気が沈んでいる状態で
良い文を書けるわけではない。
「……こりゃだめだな。」
見切りをつけ、僕は台所へ向かった。
管理人さんの手伝いをするためだ。
一人で進まない卒論を書くよりはこっちの方が遙かに有意義というものだ。
- 144 :八日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/16(月) 20:44:20 ID:OSrLY7Zw
- 台所へ行くと既にsdsさんが手伝いに来ていた。
みそ汁のおいしそうな匂いがした。
「おはようございます。手伝いに来ました。」
「あ、おはよっ。」
「おはようございます。
じゃあ、すいませんけど配膳お願いしますね。」
ジャーが二つある。
9人分の食事だ。一つではやはり足りないのだろう。
お椀にご飯を盛り机に並べていく。
単純な仕事なのだが9人分は確かに面倒くさくなる。
「毎日大変ですね。食事の準備。」
「いえ、でも皆さんが手伝ってくれますから助かってます。」
「そうですか。」
大変な仕事なのに管理人さんは前向きだ。
というのも住人の皆の支えがあるからなのだろう。
- 145 :八日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/16(月) 20:44:39 ID:OSrLY7Zw
- 「食事の準備ができたからみんなを呼びましょうか。」
「じゃ、僕は二階の人達を呼んできますね。」
「お願いします。」
僕は台所を出て階段を上がる。
気がつくと僕の部屋は開いたままだった。
「開けっ放しにしてたのか……」
ドアを覗くと部屋の中にハズカシさんがいた。
ハズカシさんは僕に気がつくと話しかけてきた。
「あ、nt君!ちょっと用があるんだけど!」
「その前に勝手に人の部屋に入らないで下さいよ……」
この人は色々と無茶苦茶である。
「まぁいいじゃないか。それよりこれを閣下さんに返してくれないか?」
その手にはビニール袋があった。
中には何かが入っている。
- 146 :八日目 ◆VV.HtNrxUA :2006/10/16(月) 20:45:02 ID:OSrLY7Zw
- 「なんですか?これ。」
「閣下さんの下着だよ。」
「え……」
目が点になった。
「待て待て、早合点するな!
外に干してあったのが雨に濡れるといけないから取り込んでおいたんだ!」
「……本当ですか?」
「本当だって!何なんだその目は!」
僕はそんな目をしていないつもりだったのだが、
よほど自分でも分かっていたのだろう、
僕の目はかなりの軽蔑の眼差しに見えたのかもしれない。
「で、なんで僕に返させようと?」
「こういうのは僕が返すと……」
「分かりました。もう言わなくてもいいです。」
「そ……そうか。」
ハズカシさんは少し残念そうな顔をした。
自分がどういう人物と思われているかを理解したらしい。
- 147 :( ´∀)・∀),,゚Д)さん:2006/10/17(火) 16:17:24 ID:ygon1FAM
- GJ!
何やってんだハズカシwww
- 148 :アブ(=゚口゚)さん ◆CSUREPjKx. :2006/10/17(火) 21:26:24 ID:V5Pgf8LU
ntの青年にカッカを売った時、日はまだ東の方にあったが
今の日はもう西の空から自分を照らしている。
「…遅いな。」
頭にバンダナを巻いた中年男…ハズカシは
少し肌に滲んだ汗を拭きながらそう思った。
約束の時間はとうに過ぎている。
元々相手は約束を時間内に守るようなヤツじゃなかったが
客である以上ある程度はワガママも聞かなければならない。
しかし…こんな仕事引き受けるんじゃなかったと後悔した。
「…ふぅ、この子も寝てしまったか。」
ハズカシはダンボールに向かって呟いた。
カッカの入っていたダンボール、しかし空ではなかった。
どうやらntは気が付かなかったがもう一匹入っていたらしい。
その子はカッカとはまた違う、両端に布の付いた軍帽を被り
箱の中で丸くなって小さく寝息を立てていた。
純粋な、ケガレのない顔で寝ているその子の未来を考えると
ハズカシの胸は痛んだ。
(ヤッパリ引キ受ケルンジャナカッタ。)
- 149 :◆CSUREPjKx. :2006/10/17(火) 21:27:00 ID:V5Pgf8LU
ハズカシがぼーっと前を見ていると、向こうから人影が
こちらに向かって来るのが見えた。
「…来たか。」
ハズカシはそう呟くと目を険しくし、相手が来るのに臨んだ。
その男は左の耳に「2o」という形のイアリングを付けていた。
男の瞳は濁った青色をしていて口元には小さな笑みを浮かべている。
その顔は整った顔でありながらどことなく狂気に満ちており、
ダンボールの中で寝ている子のそれとは全く正反対だった。
「よ、ハズカシ待たせたな。」
男はハズカシの前に立ち見下しながら口を開いた。
あまりに普通の口調に返って笑みが不気味だ。
「例の"モノ"は用意出来たんだろうな?」
続けて男は言った。モノ…という言葉にハズカシの眉間が少し動いた。
「…ああ、用意したぜ2o。ダンボールの中を見てみろ。」
ntと話したときとは違う。あまりに低いトーンでハズカシは喋った。
2oはそれを聞くとゆっくりとダンボールの方に身体を向けた。
落ち着いている…というよりははやる気を抑えてといった感じだ。
- 150 :◆CSUREPjKx. :2006/10/17(火) 21:27:18 ID:V5Pgf8LU
箱の中で寝ている子を見つけた2oの濁った目は、一瞬だけ光を取り戻したように見えた。
その光はあまりに邪なものだったが。
箱の中のその子は2oの存在に全く気付かず、未だに目を閉じ眠っていた。
2oは自身の高鳴る感情に堪えきれずククッと声を漏らした。
「…子供のsds、それも未調教のもの。これでいいんだよな?」
ハズカシは2oの方を向かず、あさっての方向を向きながら言った。
「ああ、間違いないぜ。お前に任せたから不安だったが、なかなかの上玉じゃねえか。」
「ふん、そいつは良かったな。だったら早くオーダー料含めて一万五千。払って貰おうか。」
話なんざしたくない、といった様子でハズカシは早口で言った。
2oはハズカシの方を向き直すと懐から二枚のお札を出して言った。
「ほらよ一万五千円だ。受け取りな。」
ハズカシはチラリとだけ2oの方を見て何も言わずお札を受け取った。
「しっかし、あれだな。」
2oはそこで一旦切り、続けて言った。
「普段←みたいな性具ペットを売ってるお前が
俺に対しちゃやけに冷たいじゃないか。商売に差別はいけないぜ?」
2oの笑みには軽く嘲笑の意が含まれていた。
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